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新NISAの「簿価残高方式」とは:売却した枠が戻るのは翌年から

新NISAでは、売却した分の枠を再び使えるようになります。ただし「いつ」「いくら」戻るのかには決まりがあり、値上がり益や値下がりの影響を受けません。仕組みを具体例で確認します。

公開日: 2026年10月18日 / 読了の目安: 約5分

1制度・税金

簿価残高方式のポイントは「簿価」で数えること

新NISAの生涯投資枠(1,800万円)は、買ったときの金額、つまり「簿価」で使用額を数えます。そして売却したときは、売却した商品の簿価の分だけ、使用済みの枠が空きます。この方法を簿価残高方式といいます。

覚えておきたいのは、戻るのは売却した金額(時価)ではなく、売却した分の簿価だという点です。値上がりしても、値下がりしても、戻る枠の大きさは「買ったときの金額」で決まります。

2制度・税金

計算例:値上がりして売却した場合

成長投資枠で、株Aを100株、1株2,000円(合計20万円)で購入したとします。この時点で、生涯投資枠の使用額は20万円増えます。

その後、株価が3,000円に上がったので、100株をすべて売却しました。売却代金は30万円で、10万円の利益が非課税で得られます。

  • 売却代金:30万円
  • 簿価(買ったときの金額):20万円
  • 戻る生涯投資枠:20万円(売却代金の30万円ではない)

つまり、利益の10万円分は枠の「おまけ」にはならず、枠の復活は簿価の20万円までです。

3制度・税金

値下がりして売却した場合も、戻るのは簿価分

同じ株Aを、株価が1,200円まで下がった時点で売却したとします。売却代金は12万円で、8万円の損失です。

このときも、戻る生涯投資枠は簿価の20万円分です。損失が出ても、枠が小さくなって戻るわけではありません。ただし、前述のとおりNISA口座内の損失は、他の口座の利益と通算したり、翌年以降に繰り越したりできません。

「損失が出ていても枠は元に戻る」という点は、簿価残高方式の分かりにくい部分なので、記録のうえでも意識しておくと管理しやすくなります。

4制度・税金

枠が戻るのは「翌年1月1日以降」

売却した分の生涯投資枠は、同じ年のうちには使えません。復活するのは、売却した年の翌年以降です。たとえば2026年に売却した分の枠は、2027年になってから再び使えるようになります。

また、復活した枠を使って買う場合も、年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)の範囲内に収める必要があります。「生涯の枠が空いたから、一度に大きく買い直せる」わけではありません。

  • 売却した年:枠は戻らない(同じ年に買い直す場合は、年間投資枠の残りの範囲)
  • 翌年以降:売却した簿価の分だけ生涯投資枠が空く
  • 空いた枠を使うときも、年間投資枠の上限は守る
5制度・税金

一部だけ売却したときの考え方

保有する銘柄の一部だけを売った場合は、売った数量に対応する簿価の分だけが戻ります。たとえば、簿価の合計が100万円の銘柄を、数量ベースで3割売却したなら、戻る枠はおおむね30万円です。

買い増しを重ねた銘柄では、1株あたりの簿価が一定ではないため、どの取得分が売却されたとみなすかで金額が変わります。この計算方法は金融機関ごとの取り扱いによるため、正確な数字は証券会社のNISA残高の画面で確認しておくと安心です。

6制度・税金

記録を残しておくメリット

証券会社の画面でも枠の残りは確認できますが、複数の証券会社を使っている場合や、売買の履歴を振り返りたい場合には、自分でも記録しておくと便利です。

  • どの銘柄を、いくらの簿価で買ったのかが一覧で分かる
  • 売却した年・翌年の枠の戻りを、あらかじめ計画に入れられる
  • 旧NISAの分と新NISAの分を、分けて管理できる

枠の使い方は人によって違います。自分の投資の目的や期間に合わせて、無理のない範囲で活用してください。

7制度・税金

複数年のシナリオで確認する

枠の動きを、時間の流れで見てみましょう。次のような場合を考えます。

  • 2026年:成長投資枠で240万円分を購入し、年間投資枠を使い切った。
  • 2026年中:その中の簿価100万円分の銘柄を売却した。同じ年のうちは、生涯投資枠は戻らず、年間枠も使い切っているため、新たには買えない。
  • 2027年1月以降:売却した簿価100万円分の生涯投資枠が復活する。2027年の年間投資枠(成長投資枠240万円)の範囲内で、新たに買える。

このように、売却の効果が出るのは翌年からです。売却のタイミングによって、枠が戻る年が変わる点を覚えておくと、計画を立てやすくなります。

8制度・税金

よくある質問

Q. 同じ年のうちに売却すれば、すぐに買い直せますか?
A. 生涯投資枠は戻りませんが、その年の年間投資枠に残りがあれば、その範囲で買い付けることはできます。年間投資枠を使い切っている場合は、翌年まで待つ必要があります。

Q. 売却益(値上がり分)も、枠に戻りますか?
A. 戻りません。戻るのは、売却した分の購入時の金額(簿価)だけです。たとえば、20万円で買った株が30万円で売れた場合、戻る枠は20万円です。

Q. 成長投資枠で買った分を売ると、成長投資枠の上限も回復しますか?
A. 成長投資枠で買った商品を売却すると、その簿価の分だけ、生涯投資枠全体と、成長投資枠の使用額がそれぞれ減ります。詳しい取り扱いは、金融機関の案内でも確認してください。

Q. 旧NISAの商品を売ったら、新NISAの枠は増えますか?
A. 増えません。旧NISAと新NISAは別の制度で、旧NISAの商品を売却しても、新NISAの生涯投資枠には影響しません。

9制度・税金

まとめ

  • 売却した分の枠は、購入時の金額(簿価)の分だけ、翌年以降に復活する。
  • 値上がり益や値下がりの損失は、復活する金額に影響しない。
  • 復活した枠を使うときも、年間投資枠の上限は守る必要がある。
  • NISA口座内の損失は、ほかの口座と通算できない。
★Asefoで記録する

この内容を、Asefoでどう活かせるか

AsefoのNISA枠の計算は、この簿価残高方式の考え方に沿っています。売却した分の簿価は売却した年の翌年から生涯枠に戻るものとして集計し、同じ年のうちは戻らないものとして表示します。

NISAの区分を付けて買付を記録し、売却も記録しておくと、枠の使用状況を自動で更新できます。

!ご利用上の注意

この記事について

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買や税務上の判断を 勧めるものではありません。税制や各種制度は改正される場合があります。個別の判断が必要な場合は、 国税庁・金融庁・各証券会社の公式情報をご確認いただくか、税理士などの専門家にご相談ください (記載内容は2026年10月時点の一般的な内容です)。