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損益通算と繰越控除:株式投資の損失を翌年以降に生かす方法

株式投資で損失が出た年でも、確定申告をすることで、税金の負担を軽くできる場合があります。損益通算と繰越控除という2つの仕組みを、具体例で確認します。

公開日: 2026年10月18日 / 読了の目安: 約4分

1制度・税金

損益通算とは

損益通算とは、同じ年に出た利益と損失を、相殺して課税対象を小さくする仕組みです。上場株式の売却損は、次の2つとの損益通算ができます。

  • 同じ年の、ほかの上場株式の売却益
  • 同じ年の、上場株式の配当金(確定申告で「申告分離課税」を選んだ場合)

たとえば、年間で、株Aの売却益が30万円、株Bの売却損が10万円だった場合、通算すると利益は20万円になり、税金は20万円 × 20.315% = 40,630円になります。

2制度・税金

特定口座(源泉徴収あり)の場合

源泉徴収ありの特定口座では、同じ口座の中で売却益と売却損が出ている場合、証券会社が自動で通算して税金を計算してくれます。そのため、その口座だけで取引している場合は、確定申告をしなくても通算の効果が得られます。

ただし、複数の証券会社に口座がある場合、証券会社をまたいだ通算は自動では行われません。たとえば、A証券で利益、B証券で損失が出た場合に、通算して税金を取り戻すには、確定申告が必要です。

3制度・税金

繰越控除とは:損失を3年間持ち越せる

損失が大きく、同じ年の利益や配当だけでは打ち消しきれなかった場合は、残りの損失を、翌年以降3年間にわたって繰り越せます。これが「繰越控除」です。

たとえば、次のような場合です。

  • 1年目:売却損が50万円(利益はなし)
  • 2年目:売却益が30万円 → 繰り越した損失で30万円を打ち消し、課税対象は0円
  • 3年目:残りの損失20万円を、その年の売却益と相殺できる

2年目に、源泉徴収ありの特定口座で売却益30万円から税金(約60,945円)が引かれていた場合も、確定申告で繰越控除を使えば、その税金を取り戻せます。

4制度・税金

繰越控除を使うための条件

繰越控除を受けるには、いくつかの条件があります。

  • 損失が出た年に、確定申告をして、損失を繰り越す手続きをしておく
  • 繰り越している間は、利益が出ない年も、毎年確定申告を続ける
  • 対象となる損失は、上場株式などの売却損(と、一定の配当との通算の分)

とくに、損失が出た年の確定申告をしておかないと、あとから繰越控除を使うことができません。損失が出た年こそ、申告を忘れないことが大切です。

5制度・税金

通算や繰越ができない損失

すべての損失が、通算・繰越の対象になるわけではありません。次のようなものは対象外か、制限があります。

  • NISA口座の損失:ほかの口座の利益との通算も、繰越控除もできない
  • 株式の損失と、給与所得など別の種類の所得との通算:できない
  • 先物取引や暗号資産など、別の区分の損益:原則として別々に扱う

NISA口座で損失が出る可能性がある場合は、その点を理解したうえで、どの口座で取引するかを選ぶとよいでしょう。

6制度・税金

申告の前にそろえておきたいもの

損益通算や繰越控除のために確定申告をする場合は、次の書類を用意しておくとスムーズです。

  • 証券会社から届く「特定口座年間取引報告書」
  • 配当金の支払通知書(配当金と通算する場合)
  • 前年までに繰越控除を受けている場合は、前年の申告書の控え

自分の売買の記録も残しておくと、証券会社の書類との照合に使えます。税務の判断が必要な場面では、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

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よくある質問

Q. 損失が出た年に確定申告をしなかった場合、あとから繰越控除を受けられますか?
A. 損失を繰り越すには、損失が出た年に、確定申告をしておく必要があります。申告をしていなかった場合は、原則として繰越控除を受けられませんが、期間内であれば、更正の請求などの方法がある場合もあります。税務署に相談してください。

Q. 繰越控除の3年間は、利益が出なかった年も数えますか?
A. はい。損失が出た年の翌年から数えて3年間が、繰り越せる期間です。利益が出ない年があっても、期間は進みます。また、繰り越している間は、毎年、確定申告が必要です。

Q. 配当金と通算するとき、どの課税方式を選ぶ必要がありますか?
A. 株式の売却損と配当金を通算するには、確定申告で、配当金を「申告分離課税」で申告する必要があります。申告不要や総合課税を選ぶと、通算できません。

Q. 特定口座(源泉徴収あり)でも、確定申告が必要になるのはどんな場合ですか?
A. 複数の証券会社をまたいで損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合などです。

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記録をつけておくと役立つ場面

損益通算や繰越控除を考えるときは、年ごと・口座ごとの実現損益を把握しておくことが前提になります。たとえば、次のような情報が整理されていると、判断がしやすくなります。

  • その年の実現益・実現損の、合計と内訳
  • 口座(特定口座・一般口座・NISA)ごとの損益
  • 受け取った配当金の合計と、引かれた税金
  • 前年以前に繰り越している損失の金額

とくに、NISA口座の損益は通算の対象外となるため、口座ごとに分けて記録しておくと、整理しやすくなります。

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まとめ

  • 損益通算は、同じ年の利益と損失を相殺する仕組み。配当金とも、申告分離課税なら通算できる。
  • 繰越控除は、通算しきれない損失を、翌年以降3年間持ち越せる仕組み。
  • どちらも、確定申告が必要で、損失が出た年の申告が欠かせない。
  • NISA口座の損失は、通算も繰越もできない。
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この内容を、Asefoでどう活かせるか

Asefoでは、売却ごとの実現損益と、年ごとの合計を確認できます。損失が出た年と利益が出た年が分かれていると、繰越控除を考えるときにも役立ちます。実際の申告額は、証券会社の年間取引報告書などで確認してください。

!ご利用上の注意

この記事について

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買や税務上の判断を 勧めるものではありません。税制や各種制度は改正される場合があります。個別の判断が必要な場合は、 国税庁・金融庁・各証券会社の公式情報をご確認いただくか、税理士などの専門家にご相談ください (記載内容は2026年10月時点の一般的な内容です)。